2007年6月25日月曜日
ラブ エンド ロジックとの出会い
3年ほど前、私の日本語のクラスにS君とK君という一卵性双生児の学生がいた。 あまりにも似ているため廊下であっても私はどちらがどちらか全く見当がつかないのは勿論のこと、一人が学校を休めば『えーと、今日はどちらがお休み?』と聞かなければならないほど何から何までよく似ていた。見た目も同じなら、成績もまた同じで 二年間彼らの日本語の成績は全く同じ点数(うちの高校は学期ごとの成績がパーセンテージで出される。)か、ちがっても5点差以内。頭が良くて行いもいい生徒というのはどこにでもいるが、彼らの場合 一般的にいう優等生というのとは少し違う。 二人ともクラスで一番のひょうきん者で、はめも外すが、どこで切りかえをするかを よく心得ている。どんな人にも心配りができる。 何か辛い事があっても 絶対他人にあたったり、人の責任にしたりしない。 自分の非は素直に認め、そこから学ぼうとする姿勢がある。 丁度その年、私は長女を産んだばかりだったのだが、廊下で会えば 『先生、赤ちゃんはお元気ですか?』と いうような言葉が 自然にでてくるような学生だった。彼らを知るほど『一体 どうやって育てればこういう子供に育つの?』『親にあって是非話がしたい!』と思うようになった。 私も初めての子供を産んだばかりで、子育ての一年生。子育てについていろいろ真剣に考え始めたころで、とまどうことも多かった。 そしていよいよ その日が来た。 保護者懇談会の夜、S君とK君のお母さんがやってきた。(アメリカの高校は年に二回ほど保護者懇談会があり、その日は保護者が自由に話したい子供の先生と 話す事ができる。) 第一印象は穏やかでやさしそうな人。簡単な挨拶の後、開口一番に私はこう聞いた。『それで、子育ての秘訣は何ですか?』 彼女はいきなりの質問に少し驚いたような様子だったが、その後少し微笑んで、こう答えた。 『私もね、この子たちを産んだ時はどうやって育てようかなんて 全く分からなかったの。もうパニック状態。でもね、そんなとき これに出会ったの。』 そういって、もっていたペンでノートにこう書いた。”Love and Logic”。 『ラブ エンド ロジック?』 私はつぶやいた。『そう、ラブ エンド ロジック。これを18年間実践してきたの。よかったらカセットテープかしてあげるわよ。もう何回も聞いてボロボロだけどね。』翌日、K君がお母さんから頼まれたと言って、テープをもってきてくれた。確かに 年季がはいったテープだった。テープのケースの色もほとんど色あせている。そのテープを聞き始め5分としないうちに私はその話に引込まれて行った。教育の理論を聞いているというよりも落語か何かを聞いている感じがした。頭の中にスーッと入ってくる分かりやすい言葉使い。『次はどんな話が出てくるのだろう?』とまるで推理小説を読む様にワクワクして、次のテクニックがしりたくなる。 もっと知りたいという好奇心が私をラブ エンド ロジックの世界に引込んで行った。